マレーシア不動産ナビ編集部 Malaysia Property Advisory

マレーシア法人設立

マレーシア法人設立|Sdn Bhdの要件・税率・落とし穴を解説

最終更新日:2026-07-10

マレーシアの現地法人(Sdn Bhd)は、登録料RM1,000、最低払込資本RM1で設立でき、外資100%も原則可能です。ただし日本人が見落としやすい落とし穴があります。外国人・外国法人の持分が20%を超えると、中小企業向けの優遇税率(課税所得の最初のRM15万に15%)が使えず、一律24%が適用されます。さらに、法人を持つこと自体は在留資格を生みません。

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Sdn Bhdの設立要件:居住取締役が必須

マレーシアで一般的な会社形態が、非公開有限責任会社であるSdn Bhd(Sendirian Berhad)です。会社委員会(SSM)の料金表によれば、設立登記の申請手数料はRM1,000です。社名の事前予約を行う場合は、30日ごとにRM50(最長180日)が別途かかります。

最低払込資本はRM1です。2016年会社法により額面株式の概念が廃止されたため、法令上の最低資本金の定めは実質的にありません。ただし後述するとおり、外国人の就労ビザを取得するには別途、相応の払込資本が必要になります。

取締役は最低1名で足りますが、2016年会社法第196条により、少なくとも1名は「マレーシアに通常居住する者」でなければなりません。日本在住の日本人だけでは要件を満たせないということです。居住取締役が不在になった場合、6か月の猶予期間を経てSSMが会社を抹消する可能性があります。

また、設立から30日以内に、実務証明書を持つ有資格の会社秘書役(Company Secretary)を選任する義務があります。

  • SSM設立登記手数料:RM1,000
  • 最低払込資本:RM1(法令上の下限)
  • 取締役:最低1名、うち1名以上がマレーシア居住者(会社法第196条)
  • 会社秘書役:設立後30日以内に有資格者を選任

外資100%は可能、ただし規制業種には上限がある

マレーシアでは2003年6月以降、製造業およびサービス業の新規・拡張プロジェクトについて、外国投資家が最大100%の出資を保有できます。会社法そのものに一般的な外資規制の上限はありません。

ただし、業種によっては個別の規制が外資比率に上限を課します。銀行、保険、通信、警備、人材紹介などが該当し、卸売・小売(WRT)では外資比率が51%以上になる場合、国内取引生活費省のWRTライセンスが必要になります。

業種ごとの具体的な上限は所管官庁の裁量や個別審査によって変わります。事業内容が規制業種にあたる可能性がある場合は、設立前に所管官庁または現地の法律事務所に確認してください。

最大の落とし穴:外資20%超でSME優遇税率を失う

ここが日本語の情報源でほとんど触れられていない、しかし税負担を大きく左右する論点です。

マレーシアの法人税の標準税率は24%です。これに対し中小企業(SME)には優遇税率があり、課税所得の最初のRM150,000に15%、RM150,001からRM600,000の部分に17%、RM600,000を超える部分に24%が適用されます。RM15万の15%税率区分は課税年度2024年から導入され、2025年、2026年も継続しています。

この優遇を受けるには、賦課年度の基準期間開始時点で払込普通株式資本がRM250万以下であること、総事業収入がRM5,000万以下であること、払込資本RM250万超の他社を支配していないこと、という条件をすべて満たす必要があります。そして課税年度2024年から、もうひとつ条件が加わりました。払込資本の20%を超える部分を外国法人または非マレーシア国民が直接・間接に保有している場合、SMEの優遇税率は適用されません。

つまり、日本人が100%出資して設立したSdn Bhdは、規模がどれだけ小さくても、課税所得の最初のRM1から一律24%が課されます。優遇税率を前提に収支を組んでいると、想定が崩れます。マレーシアに法人を作る動機が「税率の低さ」である場合、この条件は設計段階で必ず確認してください。

  • 標準法人税率:24%
  • SME優遇:最初のRM15万に15%、RM15万超〜60万に17%、超過分24%
  • SME適用条件:払込資本RM250万以下、総事業収入RM5,000万以下
  • 課税年度2024年から:外資・非市民の持分が20%超なら優遇の対象外(一律24%)

法人を持っても住めない:就労ビザに必要な払込資本

Sdn Bhdの株主や取締役であること自体は、マレーシアの在留資格や就労の権利を一切生みません。外国人の取締役が現地に居住して事業を運営するには、別途、就労ビザ(Employment Pass)が必要です。

そして就労ビザを会社がスポンサーするには、会社側に一定の払込資本が求められます。出入国管理局のESDガイドブックにもとづく一般的な水準は、マレーシア資本100%の会社でRM250,000、外資が30%以上の合弁会社でRM350,000、外資100%の会社でRM500,000、外資51%以上でWRT業種にあたる場合はRM1,000,000です。

したがって、日本人が単独で出資してマレーシアに住みながら事業を行うには、払込資本RM500,000を用意し、かつ前述のとおりSME優遇税率は使えないという条件を同時に引き受けることになります。「最低資本RM1で設立できる」という情報だけを見て計画すると、就労ビザの段階で行き詰まります。

なお、MM2Hは長期滞在ビザであり、会社を保有すること自体は可能ですが、原則として日常的な業務運営には別途の就労資格が必要です(プラチナ階層を除く)。

  • マレーシア資本100%:払込資本 RM250,000
  • 外資30%以上の合弁:RM350,000
  • 外資100%:RM500,000
  • 外資51%以上のWRT業種:RM1,000,000

SST:2026年1月から本格執行、賃貸業にも影響

マレーシアの売上・サービス税(SST)は、2025年7月1日から課税範囲が大幅に拡大されました。猶予期間を経て、罰則を伴う本格的な執行が2026年1月1日から始まっています。

サービス税の税率は6%または8%です。飲食、通信、物流、建設、教育、医療などは6%、その他の多くの新規課税対象サービスには8%が適用されます。今回の拡大により、リース・賃貸、建設、金融サービス、民間医療、教育が新たに課税対象に加わりました。

登録の閾値は、一般的な課税対象サービスで年間RM500,000、賃貸・リースおよび金融サービスは年間RM1,000,000、民間医療は12か月でRM1,500,000です。教育サービスについては、学生1人あたりの年間学費がRM60,000を超える部分に6%が課されます。

不動産を法人で保有して賃貸に出す事業を検討している場合、賃料収入が年間RM100万を超えるとサービス税の登録義務が生じます。物件数を増やす計画がある場合は、この閾値を設計に織り込んでください。

配当への課税:単一段階だが、YA2025から2%が加わった

マレーシアは単一段階課税制度を採用しており、法人段階で課税された後の利益から支払われる配当に対して、株主段階で改めて課税されることは原則としてありません。配当に対する源泉徴収税もありません。

ただし、課税年度2025年(2025年1月1日以降)から、個人株主が受け取る配当所得のうち年間RM100,000を超える部分に2%の税が課されるようになりました。課税されるのは超過部分のみで、法人株主は対象外です。国外源泉の配当、パイオニア・ステータス企業からの配当、協同組合、承認済みファンド、EPFからの配当などは免除されます。

ラブアン法人:2025年に実体要件が厳格化

ラブアン(Labuan)は、マレーシア国内にありながら独自の税制が適用される連邦直轄領です。ラブアン事業活動のうち取引活動には監査済み純利益の3%、非取引活動(純粋な持株など)には0%の税率が適用されます。

ただしこれは実体要件(Substance Requirements)を満たすことが条件です。ラブアンから指揮・管理されていること、中核となる収益創出活動をラブアンで行うこと、物理的な事業所を維持すること、そして最低人数の常勤従業員と年間の最低現地支出(活動類型により、2名・RM50,000から)を満たすことが求められます。

2025年9月2日に官報告示されたP.U.(A) 325/2025により、「適格な常勤従業員」の定義が厳格化されました。要件を満たさない場合、優遇税率は適用されず、標準の24%が課されます。実体を伴わない設立は、税務上の利点を得られないばかりか、追徴のリスクを負います。

設立コストと毎年かかる維持費

設立を代行業者に依頼した場合、SSMの登記手数料、秘書役の初期設定費用、初年度の秘書役報酬を含めた初年度の総額は、おおむねRM3,500〜10,000のレンジに収まります。小規模で単純な構成であればRM4,500〜6,500程度が中心的な水準です。2年目以降は設定費用が不要になるため、年間RM3,500〜5,500程度になります。

毎年の法定コンプライアンスとしては、年次報告書の提出(SSM手数料RM150)、監査済み財務諸表の提出(RM50、無監査の場合はRM20)、法人税の申告があります。会社秘書役の年間報酬は一般にRM1,200〜2,800、税務代理人の報酬はRM1,000〜3,000程度です。

監査は原則として義務ですが、SSMは監査免除の基準を段階的に緩和しています。2025年は売上高と総資産がいずれもRM100万以下かつ従業員10名以下、2026年はRM200万以下かつ20名以下、2027年以降はRM300万以下かつ30名以下が基準です(いずれも当期と直前2期の判定)。監査が必要な場合の小規模会社の監査報酬は、RM1,500〜5,000程度が目安です。

実際に事業を行う小規模なSdn Bhdの年間維持費は、総額でおよそRM5,000〜15,000、多くはRM7,000〜10,000の範囲に収まります。休眠会社であればRM2,500〜4,000程度まで下がります。

  • 初年度の設立総額:約RM3,500〜10,000(小規模はRM4,500〜6,500)
  • 2年目以降:年 約RM3,500〜5,500
  • 年次報告書 RM150/監査済み財務諸表 RM50
  • 監査免除(2026年):売上・総資産RM200万以下かつ従業員20名以下
  • 実務上の年間維持費:小規模で概ねRM5,000〜15,000

法人で不動産を買う場合

外国法人が住宅用不動産を取得する場合も、2026年1月1日以降に譲渡証書(MOT)を締結するのであれば、印紙税は一律8%です。個人と同じ扱いになります。州ごとの外国人最低購入価格と州政府の購入許可も、法人であることで免除されません。

法人名義での保有は、複数物件の管理、経費の計上、事業承継といった観点から検討されることがあります。一方で、SME優遇税率を失うこと、賃料収入が年間RM100万を超えればサービス税の登録義務が生じること、毎年の会計・監査・申告コストが発生することを合わせて評価する必要があります。

税制は課税年度ごとに変更されます。とくにSST、配当課税、監査免除基準はここ数年で連続して改定されています。実際の設立や不動産取得の判断にあたっては、必ず現地の会計士・税理士に最新の取扱いを確認してください。

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出典

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よくある質問

マレーシアで法人を設立する費用はいくらですか?

SSMの登記手数料はRM1,000、最低払込資本はRM1です。代行業者に依頼した場合、初年度の総額はおおむねRM3,500〜10,000、小規模で単純な構成ならRM4,500〜6,500程度です。2年目以降は年RM3,500〜5,500程度になります。

日本人が100%出資できますか?

製造業・サービス業では原則として外資100%が可能です。ただし銀行、保険、通信、警備などの規制業種には上限があり、卸売・小売(WRT)で外資51%以上の場合はWRTライセンスが必要です。また、取締役のうち少なくとも1名はマレーシア居住者でなければなりません。

外資100%だと税率が上がるというのは本当ですか?

本当です。課税年度2024年から、払込資本の20%を超える部分を外国法人または非マレーシア国民が保有する会社は、中小企業向けの優遇税率(最初のRM15万に15%、RM15万超〜60万に17%)の対象外となり、課税所得の全額に標準税率24%が適用されます。

会社を作ればマレーシアに住めますか?

住めません。株主や取締役であること自体は在留資格を生みません。現地に居住して事業を行うには就労ビザ(Employment Pass)が必要で、会社側に払込資本が求められます。外資100%の会社の場合はRM500,000が一般的な水準です。

ラブアン法人は節税になりますか?

取引活動で3%、非取引活動で0%の税率が適用されますが、実体要件を満たすことが条件です。ラブアンでの指揮・管理、物理的な事業所、最低2名の常勤従業員と年間RM50,000以上の現地支出などが求められ、2025年9月のP.U.(A) 325/2025で「適格な常勤従業員」の定義が厳格化されました。要件を満たさなければ標準の24%が課されます。

法人名義で不動産を買うと印紙税は変わりますか?

変わりません。外国法人が住宅用不動産を取得する場合も、2026年1月1日以降にMOTを締結するなら印紙税は一律8%です。州ごとの最低購入価格と州政府の購入許可も、法人であることによる免除はありません。

免責事項

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