マレーシア不動産ナビ編集部 Malaysia Property Advisory

MM2H

MM2Hとは|2026年時点の4階層と要件、日本語情報に残る誤り

最終更新日:2026-08-06

MM2H(Malaysia My Second Home)は、2024年7月の3階層化に加えて、ジョホールの経済特区を対象とするSEZ階層が加わり、2026年時点では4つの区分で運用されています。日本語の解説記事には「定期預金RM50万」といったリンギット建ての数値が今も残っていますが、連邦のMM2Hの定期預金はUSD建てです。この記事では階層ごとの現行要件を整理したうえで、日本人が最も誤解しやすい「物件購入義務」と州の最低購入価格の関係を説明します。

MM2Hを、階層・定期預金・物件購入義務・滞在日数・ビザ期間・申請経路の観点で整理したスマホ向け図解
MM2Hは階層ごとに預金額・物件条件・滞在義務が異なります。

2026年時点のMM2Hは4階層

MM2Hは観光芸術文化省(MOTAC)が所管する長期滞在プログラムです。2024年6月に発表された3階層制(シルバー・ゴールド・プラチナ)に、ジョホール州の経済特区を対象とするSEZ階層が加わり、現在は4区分で案内されています。

最初に押さえるべき点は、定期預金の額がUSD建てで設定されていることです。シルバーはUSD15万、ゴールドはUSD50万、プラチナはUSD100万。日本語のウェブ記事に散見される「シルバーはRM50万」という記述は誤りで、多くはサラワク州の別制度(S-MM2H)との混同によるものです。

SEZ階層は、21〜49歳がUSD65,000、50歳以上がUSD32,000と年齢で分かれ、物件購入義務はRM50万以上。対象はフォレストシティなど指定されたエリアの物件で、デベロッパーから直接購入することが前提とされています。ビザ期間は10年で、参加費はRM1,000です。

就労や事業の運営が認められるのはプラチナのみです。シルバー、ゴールド、SEZでは就労・事業活動は認められません。要件は改定されるため、申請前にMOTACの公式資料で最新の条件を確認してください。

  • SEZ:定期預金USD32,000(50歳以上)/USD65,000(21〜49歳)、物件RM50万以上(指定エリア)、ビザ10年、参加費RM1,000
  • シルバー:USD15万、物件RM60万以上、ビザ5年、参加費RM1,000
  • ゴールド:USD50万、物件RM100万以上、ビザ15年、参加費RM3,000
  • プラチナ:USD100万、物件RM200万以上、ビザ20年、参加費RM20万・就労可
  • 就労・事業が可能なのはプラチナのみ

滞在義務は年齢で変わる:50歳以上は最低日数の定めがない

見落とされやすいのが滞在義務です。年間の最低滞在日数(半島マレーシアで暦年累計90日)が課されるのは、おおむね25〜49歳の申請者で、50歳以上には最低滞在日数の定めが置かれていません。「MM2Hは年90日住まないといけない」という説明は、年齢によっては当てはまりません。

ただし、この90日という数字を税務と混同しないでください。マレーシアの所得税法では暦年182日以上の滞在で税務上の居住者と判定されます。ビザ制度上の滞在義務と、税法上の居住者判定は、まったく別の基準です。90日滞在してもマレーシアの税務居住者にはなりませんし、日本側の納税義務は日本の税法で別途判断されます。

扶養家族として同伴できる範囲は比較的広く、配偶者、就労していない34歳までの未婚の子、障害のある子(年齢不問)、双方の親までが対象とされています。参加費は主申請者にのみ課され、扶養家族に追加の参加費はかからないと案内されています。

定期預金は最大50%まで引き出せる

定期預金は預けたまま塩漬けになるわけではありません。承認後、物件購入、教育、医療、観光を目的とする場合に限り、最大50%まで引き出すことができます。

物件購入のために引き出す場合、階層ごとに時期の条件が異なります。シルバー・ゴールド・プラチナでは、MM2Hの承認前2年以内に完了した物件購入も対象になるとされる一方、SEZでは承認後の一定期間内に指定エリアの物件を購入することが前提とされています。

ここで注意すべきは為替です。定期預金はUSD建てで求められますが、物件価格はリンギット建てです。円で資金を用意する場合、円→USD、リンギット→円という2つの為替が絡みます。円換算の総額は、契約時点のレートに大きく左右されます。

最大の誤解:物件購入義務と州の最低購入価格は別の規制

ここが日本語の情報で最も誤って伝わっている論点です。MM2Hの階層ごとに定められた物件購入義務(シルバーならRM60万以上)と、各州が外国人に課している最低購入価格は、別々の規制です。MM2Hは連邦のプログラムであり、州の土地・不動産規制を上書きしません。両方が適用され、高いほうが実際の下限になります。

具体例で考えます。シルバーでクアラルンプールに住宅を買う場合、MM2H側の義務はRM60万以上ですが、クアラルンプールの外国人最低購入価格はRM100万です。したがって実際に購入できるのはRM100万以上の物件だけです。「MM2Hを取ればRM60万で買える」わけではありません。

SEZ階層のRM50万という水準が成立しているのは、対象が指定エリアの物件に限定され、その区域では州の基準額の扱いが通常と異なるためと説明されています。ジョホール州の一般的な外国人最低購入価格はストラタでRM100万です。指定区域の範囲と適用関係は個別性が高いため、契約前に州政府または現地の弁護士に直接確認してください。

州別の最低購入価格は価格相場のページに一覧でまとめています。

  • MM2Hの物件購入義務と州の最低購入価格は別規制。高いほうが適用される
  • シルバー(RM60万)でもKLで買うなら州の下限RM100万を満たす必要がある
  • SEZのRM50万は指定エリアの物件を前提とした水準
  • ジョホール州の一般的な基準額はストラタでRM100万

MM2Hは永住権ではない:印紙税8%の対象になる

2026年1月1日以降にMOT(譲渡証書)を締結する非永住権の外国人は、住宅用不動産の取得に対して一律8%の印紙税を負担します。改定前は4%でした。

MM2Hは長期滞在の資格であって、マレーシア永住権(PR)ではありません。したがってMM2H保有者もこの8%の対象です。物件価格RM100万なら印紙税だけでRM8万。弁護士費用や登記費用を含めた初期費用は、物件価格の約9〜10%が目安になります。

「MM2Hの物件購入義務を満たすために買う」という発想で価格の下限だけを見ると、この初期費用と、保有中の管理費・評価税、そして売却時の不動産譲渡益税(RPGT)が抜け落ちます。購入義務は入口の条件にすぎません。

申請は認可エージェント経由が必須

MM2Hの申請は、MOTACの免許を受けた会社を通じてのみ受け付けられます。個人での直接申請はできません。免許会社の一覧はMOTACのサイトで公開されているため、依頼先が掲載されているか、免許が有効かを自分で確認してください。

ここで区別しておくべきことがあります。MM2Hの申請代行に必要なのはMOTACの免許であり、不動産の仲介に必要なのはLPPEHの登録です。制度も所管官庁も別です。ビザと物件を同じ窓口に相談する場合は、両方の資格を確認する必要があります。エージェントの確認手順は日本人エージェントの記事にまとめています。

共通要件として、申請者は25歳以上(SEZは21歳以上)、海外所得の証明要件は撤廃されています。60歳未満には医療保険の加入が求められます。

サラワク州のS-MM2Hは別制度

サラワク州は連邦のMM2Hとは独立した「S-MM2H」を運用しています。2025年1月1日施行の改定で、定期預金はRM15万からRM50万へ引き上げられました。主申請者は30歳以上、年間の最低滞在日数は累計30日、ビザは5年で5年の更新が可能(最長10年)、申請料はRM5,000です。物件購入は義務ではありません。

連邦のシルバー(USD15万)と比べると金銭的なハードルは低く、滞在義務も軽いのが特徴です。ただしS-MM2Hによる居住資格は法的にサラワク州内に限られます。クアラルンプールやペナンに住む目的では選べません。

取得を決める前に確認すること

MM2Hの取得と物件購入をセットで進める前に、賃貸で生活してみることを検討してください。通勤・通学の経路、渋滞の実際、買い物のしやすさ、医療機関との距離は、内見や短期滞在では把握しきれません。マレーシアの賃貸は初期費用が家賃の約3.5か月分で、家具付きが標準です。

購入が必要になったときに確認すべきは、州の最低購入価格、外国人購入許可、印紙税8%、そして売却時の流動性です。特に流動性は重要で、RM100万以上の物件の買い手は外国人か現地の富裕層に限られます。

制度の要件は改定が続いています。この記事の内容は執筆時点のもので、申請前にはMOTACの公式資料と認可エージェントで最新の条件を確認してください。

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出典

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よくある質問

MM2Hの定期預金はいくらですか?

USD建てで、シルバーがUSD15万、ゴールドがUSD50万、プラチナがUSD100万です。SEZ階層は21〜49歳がUSD65,000、50歳以上がUSD32,000です。日本語記事にある「RM50万」はサラワク州の別制度(S-MM2H)との混同によるもので、連邦のMM2Hはリンギット建てではありません。

MM2Hは何歳から申請できますか?滞在義務はありますか?

申請は25歳以上(SEZは21歳以上)です。年間の最低滞在日数(半島マレーシアで暦年累計90日)が課されるのはおおむね25〜49歳で、50歳以上には最低滞在日数の定めが置かれていません。なお、この90日は税務上の居住者判定(182日)とは別の基準です。

MM2Hを取れば安く物件を買えますか?

買えません。MM2Hの物件購入義務と州の最低購入価格は別の規制で、高いほうが適用されます。シルバー(義務RM60万)でもクアラルンプールで買うなら州の下限RM100万を満たす必要があります。

MM2Hがあれば印紙税は安くなりますか?

なりません。2026年1月1日以降にMOTを締結する非永住権の外国人には一律8%の印紙税がかかり、MM2Hは永住権ではないため対象です。初期費用は物件価格の約9〜10%が目安になります。

MM2Hで働けますか?

就労と事業運営が認められるのはプラチナのみです。シルバー、ゴールド、SEZでは認められていません。就労を目的とする場合は就労ビザ(Employment Pass)やDE Rantauを検討することになります。

自分で申請できますか?

できません。MM2Hの申請はMOTACの免許を持つ会社を通じてのみ受け付けられます。免許会社の一覧はMOTACのサイトで公開されているため、依頼先が掲載されているか確認してください。

免責事項

本サイトの情報は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の物件購入、投資判断、税務、法務、金融商品を推奨するものではありません。実際の購入判断にあたっては、現地の専門家、不動産会社、弁護士、税理士等に確認してください。