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ジョホールバル 不動産 投資

ジョホールバルの不動産投資|RTSリンク開業とJS-SEZで何が変わるか、供給過剰のリスク

最終更新日:2026-10-08 執筆:Yuto Nishitani(ラブアン法人代表・クアラルンプール在住)

ジョホールバル(JB)は、シンガポールとの国境に接する南部の都市です。2025年1月にマレーシアとシンガポールが経済特区(JS-SEZ)の協定に署名し、両国を結ぶ鉄道RTSリンクの開業も近づいたことで、日本語の投資情報でも「次の成長エリア」として紹介されることが増えました。しかし、完成済みの売れ残り住宅(オーバーハング)は全国でも上位で、外国人が買った物件を売れずに困っているという報道も出ています。この記事では、追い風と逆風をそれぞれ公的資料と報道で確認し、投資判断で何を見るべきかを整理します(2026年10月時点)。

結論:インフラの追い風は本物だが、価格を決めるのは供給の多さ

JBには、他のマレーシアの都市にない材料が2つあります。シンガポールのウッドランズと約5分で結ぶRTSリンクと、両国政府が共同で推進するJS-SEZです。どちらも計画段階ではなく、RTSリンクは開業目前、JS-SEZは2025年1月から税制優遇の申請受付が始まっています。

一方で、国家不動産情報センター(NAPIC)の2026年第1四半期の統計では、完成済みの住宅の売れ残りがペラ州に次いで全国2番目に多い州がジョホールです。サービスアパートの売れ残りでもジョホールが全国最多と報じられています。需要の材料があっても、それを上回る供給があれば、家賃も売却価格も上がりにくくなります。

投資判断で重要なのは「JB全体」ではなく、RTSリンクの駅や国境の検問所から実際に通勤できる範囲か、同じ地区で同じ間取りの在庫がどれだけあるか、外国人以外の買い手に売れる価格帯か、という物件単位の条件です。

ジョホールバル不動産の追い風と逆風(2026年10月時点で確認できた情報)
項目内容投資への影響
RTSリンクJBのブキ・チャガー駅〜シンガポールのウッドランズ・ノース駅、約4km・約5分。2027年1月1日開業見込み(正式発表待ち)駅周辺の通勤需要。ただし効果は徒歩・短時間圏に限られる
JS-SEZ2025年1月7日署名。9つの重点地区、先端産業に法人税5%(最長15年)など雇用と駐在需要の増加が期待される
売れ残り住宅2026年第1四半期、完成済み住宅の売れ残りは3,852戸で全国2位家賃・価格の上昇を抑える
外国人の購入コスト最低購入価格RM100万(ストラタ)、州承認料の引き上げ(2025年)、印紙税8%(2026年)初期費用の増加と、売却先の制約

RTSリンク:2027年1月開業見込み、正式な日程と運賃は未発表

RTSリンクは、JB中心部のブキ・チャガー駅とシンガポール側のウッドランズ・ノース駅を結ぶ約4kmの鉄道で、乗車時間は約5分、輸送能力は片方向1時間あたり最大1万人です。2021年1月に着工しました。シンガポール陸上交通庁(LTA)の公式ページは、旅客営業の開始目標を「2026年末」としています。

マレーシアのアンソニー・ロー運輸相は、2027年1月1日の運行開始を見込んでいると説明してきました。2026年8月の発言では、開業日と運賃は両国が共同で発表するとしており、10月時点で正式な開業日と運賃は発表されていません。1日あたりの利用者は約4万人と見込まれています。

投資の観点では、RTSリンクの恩恵は駅から徒歩圏、または短時間でアクセスできる範囲に集中すると考えるのが自然です。JBは東西に広く、駅から離れた地区の物件まで「RTS効果」で説明されることがありますが、実際の通勤時間を地図で確認してください。運賃水準も、越境通勤者の住まい選びに影響します。

  • 区間:ブキ・チャガー(JB)〜ウッドランズ・ノース(シンガポール)、約4km・約5分
  • 輸送能力:片方向1時間あたり最大1万人
  • 開業:LTAは「2026年末」目標、マレーシア側は2027年1月1日見込み(共同発表待ち)
  • 運賃:未発表(ネット上の金額は推測)

JS-SEZ:税制優遇の対象は企業と専門人材

ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)は、2025年1月7日に両国政府が協定に署名しました。対象はJBウォーターフロント、イスカンダル・プテリ、タンジュン・プルパス、スナイ・スクダイ、クライ・スダナック、フォレストシティなど9つの重点地区で、マレーシア投資開発庁(MIDA)は総面積を3,500平方キロメートル超としています。5年で50件、10年で100件のプロジェクトと、2万人の熟練雇用が目標とされています。

MIDAが2025年1月に発表した優遇策では、AI、医療機器、航空宇宙などの先端分野の企業に最長15年間の法人税率5%(通常は24%)、条件を満たす専門人材に10年間の個人所得税率15%が適用されます。申請受付は2025年1月1日から2034年12月31日までです。

不動産投資への効果は間接的です。優遇の対象は企業と専門人材で、住宅の購入者に税制上の優遇があるわけではありません。企業の進出が実際に雇用と駐在員の住宅需要につながるか、どの地区に集まるかを、進出企業の発表と工場・オフィスの立地で確認してください。

  • 署名:2025年1月7日
  • 重点地区:JBウォーターフロント、イスカンダル・プテリ、フォレストシティなど9地区
  • 企業:先端分野に法人税5%(最長15年)
  • 専門人材:個人所得税15%(10年間)
  • 住宅購入者への直接の優遇はない

供給過剰:売れ残りは全国上位、サービスアパートが特に重い

NAPICの2026年第1四半期の統計では、全国の完成済み住宅の売れ残りは32,801戸(RM163.7億)で、前年同期比39.5%増、6四半期連続の増加でした。州別ではペラ州4,063戸に次いでジョホール州が3,852戸で2位です。2026年上半期の全国の売れ残りは33,094戸(RM177.8億)にさらに増えています。

住宅とは別に集計されるサービスアパートの売れ残りは、2026年上半期に全国で23,375戸(RM193.3億)あり、その半数超がRM50万〜100万の価格帯と報じられています。州別の内訳ではジョホールが全国最多で、全国の約半分を占めると報じられていますが、NAPICの州別の原資料は確認できていないため、目安として扱ってください。

価格の推移では、JLLの調査(2025年11月報道)で、ジョホールのサービスアパートの平均単価が2024年の1平方フィートあたりRM549から2025年第3四半期にRM711へ、JBの戸建ては同RM352からRM388へ上昇したとされ、価格上昇率は全国最高とされています。売れ残りの多さと価格の上昇が同時に起きているため、新築の販売価格と、中古で実際に成約する価格の差を確認することが重要です。

売れ残り(完成済み・未販売)の状況(NAPIC統計の報道より)
時点対象戸数・金額
2026年第1四半期全国の住宅32,801戸(RM163.7億)、前年同期比39.5%増
2026年第1四半期ジョホール州の住宅3,852戸(全国2位)
2026年上半期全国の住宅33,094戸(RM177.8億)
2026年上半期全国のサービスアパート23,375戸(RM193.3億)。ジョホールが最多と報じられている

外国人が買うときの条件:最低価格・承認料・印紙税

ジョホール州の外国人最低購入価格は、ストラタ(コンドミニアム・サービスアパート)でRM100万です。マレーシア弁護士会の州別一覧(2024年10月時点)では、平屋と1.5階建てのテラスハウスは外国人が買えません。戸建ては、JB中心部やイスカンダル・プテリなどの国際ゾーンでRM200万とする州の方針が報じられていますが(2017年の報道)、現在の基準は弁護士を通じて州土地局に確認してください。

州の承認料(レビー)は2025年に引き上げられ、住宅は2%(最低RM2万)から3%(最低RM3万)になり、RM100万未満のサービスアパートには最低RM5万が設定されたと報じられています。適用開始日は報道によって2025年7月1日と9月1日で異なります。さらに、2026年1月1日以降は外国人の住宅取得の印紙税が一律8%になりました。

2026年4月の報道では、デベロッパーが特別承認を得てRM100万未満で外国人に販売した物件は、転売先がマレーシア国民に限られ、外国人購入者が売るに売れない状況が伝えられています。購入価格が州の基準額を下回る「特例物件」は、出口が国内の買い手の価格水準で決まる点を理解したうえで判断してください。

  • 最低購入価格:ストラタRM100万
  • 平屋・1.5階建てテラスハウスは外国人購入不可
  • 州承認料:住宅3%(最低RM3万)などに引き上げ(2025年、適用日は報道により異なる)
  • 印紙税:外国人の住宅は一律8%(2026年1月以降)
  • RM100万未満の特例物件は、転売先が国民に限られるとの報道

フォレストシティとMM2HのSEZ階層

JBの西に位置するフォレストシティは、2023年8月に特別金融区(SFZ)に指定され、2024年9月にはファミリーオフィス向けの法人税0%、専門人材の所得税15%などの優遇策が発表されました。デベロッパー直販の完成済み住戸に印紙税の50%軽減があるとも案内されています(デベロッパーの発表資料)。ただし、居住者数や入居率の公式な統計は確認できず、開発は4つの人工島のうち一部にとどまると伝えられています。

MM2HのSEZ階層は、フォレストシティなど指定エリアの物件をRM50万以上で購入することが前提の区分です。ビザの要件を満たすための購入と、投資としての採算は別の問題で、賃貸需要と売却時の買い手が見込めるかを個別に確認する必要があります。

ジョホールバルで物件を選ぶときのチェックリスト

利回りについては、NAPICなどの公的な統計で地区別の賃貸利回りは公表されていません。ネット上の利回りは仲介会社やブログの集計で、物件ごとの差も大きいため、検討物件の同じ建物・同じ間取りの賃貸募集と成約の事例で確認してください。

最後に、出口の時点を決めておくことが重要です。外国人の売却益税(RPGT)は所有5年以内で30%、6年目以降も10%で、RTSリンクの開業前後の短期売買を想定すると税負担が重くなります。

  • RTSリンク駅・CIQ(出入国審査)までの実際の所要時間
  • 同じ地区・同じ間取りの売れ残りと賃貸募集の数
  • 住宅地目か商業地目(サービスアパート)か
  • 購入価格が州の基準額(RM100万)以上か、特例物件か
  • 州承認料・印紙税8%を含めた初期費用
  • 売却時のRPGTと、外国人以外の買い手に売れる価格帯か

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出典

この記事の著者

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Yuto Nishitani ラブアン法人代表

ラブアン法人代表として、2025年10月からマレーシア・クアラルンプールに単身で暮らしています。

現在はクアラルンプールのブキッ・ビンタンで物件を賃貸して暮らしています。

マレーシア不動産の購入・投資に関する記事は、政府・当局の公表資料などの一次資料に基づいて整理したもので、物件を購入した経験に基づくものではありません。

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よくある質問

RTSリンクはいつ開業しますか?

マレーシア政府は2027年1月1日の運行開始を見込んでいますが、2026年10月時点で正式な開業日と運賃は発表されておらず、両国が共同で発表するとされています。シンガポールLTAの公式ページは「2026年末」を目標としています。

JS-SEZで不動産購入者に優遇はありますか?

JS-SEZの税制優遇は、先端分野の企業(法人税5%、最長15年)と専門人材(所得税15%、10年間)が対象で、住宅購入者への直接の優遇はありません。不動産への効果は雇用と住宅需要を通じた間接的なものです。

ジョホールバルは供給過剰ですか?

NAPICの2026年第1四半期の統計で、ジョホール州の完成済み住宅の売れ残りは3,852戸と全国2位です。サービスアパートの売れ残りもジョホールが全国最多と報じられており、地区と物件種別ごとの在庫確認が欠かせません。

外国人はジョホールでいくら以上の物件を買えますか?

ストラタ(コンドミニアム等)はRM100万以上です。平屋・1.5階建てのテラスハウスは外国人が買えません。戸建ての基準は地区によって異なると報じられているため、弁護士を通じて州土地局に確認してください。

RM100万未満で外国人に販売されている物件はありますか?

デベロッパーが特別承認を得て販売する例がありますが、2026年4月の報道では、こうした物件は転売先がマレーシア国民に限られるとされています。売却時の買い手と価格を想定してから判断してください。

ジョホールバルの利回りはどれくらいですか?

NAPICなどの公的統計で地区別の賃貸利回りは公表されていません。ネット上の数値は仲介会社等の集計で物件差も大きいため、検討物件の同じ建物の賃貸成約事例で確認することをおすすめします。

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