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マレーシア不動産 売却 税金

マレーシア不動産の売却にかかる税金(RPGT)|外国人は5年以内30%、買主が7%を預かる仕組み

最終更新日:2026-10-08 執筆:Yuto Nishitani(ラブアン法人代表・クアラルンプール在住)

マレーシア不動産の出口を考えるとき、最初に確認すべきなのが不動産譲渡益税(Real Property Gains Tax、RPGT)です。外国人の税率は所有期間5年以内で30%、6年目以降でも10%で、マレーシア国民・永住者のように長く持てば0%になる仕組みはありません。さらに、売却代金の7%は買主が差し引いて税務当局に納めるため、売主の手元に入る金額は契約価格より少なくなります。この記事では、LHDN(マレーシア内国歳入庁)の2026年時点の案内をもとに、税率、保有期間の数え方、控除できる費用、申告手順を整理し、日本の居住者が日本でも申告する場合の注意点までまとめます。

結論:外国人のRPGTは5年以内30%、6年目以降10%

RPGTの税率は、売主の区分と保有期間で決まります。日本人などマレーシア国籍も永住権も持たない個人は、不動産譲渡益税法(RPGT Act 1976)第5附則のパートIIIに区分され、保有期間3年以内・4年目・5年目はいずれも30%、6年目以降は10%です。マレーシア国民・永住者(パートI)は4年目20%、5年目15%、6年目以降0%と段階的に下がるため、同じ物件を同じ期間持っても、外国人の税負担は大きく異なります。

LHDNの税率表(2026年6月更新)によれば、パートIIIの税率は2019年1月1日以降の譲渡に適用されているもので、2026年予算でも税率の変更はありませんでした。

RPGTの税率(LHDN、2026年6月更新の税率表より)
保有期間外国人個人(非国民・非永住者)国民・永住者マレーシア法人
3年以内30%30%30%
4年目30%20%20%
5年目30%15%15%
6年目以降10%0%10%

保有期間は「売買契約日から売買契約日まで」で数える

LHDNの案内では、譲渡日は書面の契約がある場合はその契約(SPA)の日付、書面の契約がない場合は所有権移転か代金全額受領のいずれか早い日とされています。また、買主にとっての取得日は売主の譲渡日と同じ日です。つまり、自分が買ったときのSPAの日付から、売るときのSPAの日付までが保有期間になります。

引き渡し日や登記日ではない点に注意してください。新築物件を購入した場合、SPAから引き渡しまで数年かかることがあり、その期間も保有期間に含まれます。逆に、引き渡しから5年経っていても、売却のSPAの日付が購入SPAから5年以内であれば30%が適用されます。

外国人の取引は州政府の許可(State Consent)が必要です。法律の解説では、政府の承認を要する契約は承認日(条件付きの承認なら最後の条件を満たした日)が譲渡日になるとされています。日付が税率の境目に近い場合は、弁護士に判定を確認してください。

  • 取得日:購入時のSPAの日付
  • 譲渡日:売却時のSPAの日付(書面契約がない場合は所有権移転か代金全額受領の早いほう)
  • 新築の工事期間も保有期間に含まれる
  • 州政府の承認を要する契約は承認日が基準になるとの解説がある

課税対象の計算:控除できる費用と、外国人にも使える免除

課税される譲渡益は「譲渡価額 − 取得価額」で計算し、それぞれから認められた費用を差し引きます。LHDNの案内では、物件の価値を高める・維持するための支出、権利を確立・防御するための支出、そして測量士・鑑定士・仲介業者・会計士・弁護士に支払った報酬(購入時・売却時の両方)が控除の対象です。一方、ローンの利息、所得税で控除済みの費用、RPGT申告書の作成費用は控除できません。印紙税などの移転費用や広告費については、RPGTのガイドラインの解説で控除できるとされていますが、個別の扱いは申告前に税務代理人に確認してください。

免除については、課税対象となる譲渡益の10%またはRM10,000のいずれか大きい額を差し引く規定(第4附則第2項)があり、LHDNは「個人のみ」としたうえで国籍の条件を示していません。このため外国人の個人にも適用されると解説されています。一方、生涯1回だけ使える自宅売却の免除(第8条)は、マレーシア国民または永住者に限られ、外国人は使えません。

計算例(仮定の数値による試算):外国人が4年目に売却した場合
項目金額説明
譲渡価額RM1,200,000売却時のSPA価格
取得価額RM1,000,000購入時のSPA価格
控除できる費用(仮定)RM40,000購入・売却時の仲介手数料・弁護士費用など
課税対象の譲渡益RM160,0001,200,000 − 1,000,000 − 40,000
免除(10%またはRM10,000の大きいほう)RM16,000160,000 × 10%
課税される譲渡益RM144,000160,000 − 16,000
RPGT(30%)RM43,200保有4年目のため30%
買主の預かり額(7%)RM84,0001,200,000 × 7%。税額との差額は還付手続きの対象

買主が売買代金の7%を預かってLHDNに納める

外国人が売主の場合、買主は売買代金のうち7%(または現金で受け取る代金全額のいずれか少ないほう)を差し引き、譲渡日から60日以内にLHDNへ納める義務があります(RPGT Act 第21B条)。国民・永住者が売主なら3%、マレーシア法人は保有3年以内5%・4年目以降3%で、預かり率は売主の区分で決まります。保有期間で3%・5%・7%と変わるという説明を見かけますが、LHDNの案内とは異なります。

2026年1月1日以降の譲渡からは、売主が自分の申告にもとづく税額を買主に通知した場合、買主は「現金で受け取る代金全額」「所定の預かり率の額」「通知された税額」のうち最も低い額を納めればよい仕組みが加わりました。税額が7%を大きく下回る場合は、この通知の手続きを弁護士と確認してください。

預かり額が最終的な税額を上回った場合、差額は還付の対象になります。上の計算例では、税額RM43,200に対して預かり額がRM84,000で、差額は申告・査定を経て返還を求めることになります。売却代金を次の投資や日本への送金に充てる予定がある場合、この資金が一時的に戻らない点を資金計画に入れてください。

  • 預かり率:外国人個人7%、国民・永住者3%、マレーシア法人5%(3年以内)/3%(4年目以降)
  • 買主は譲渡日から60日以内にLHDNへ納付
  • 2026年以降の譲渡は、売主の税額通知により預かり額を下げられる
  • 預かり過ぎた分は還付の対象

申告はe-CKHTで60日以内、納税は90日以内

売主は譲渡日から60日以内に、RPGTの申告書(不動産はCKHT 1A、免除や納税額がない場合はCKHT 3)を提出します。買主もCKHT 2Aを60日以内に提出します。2025年1月1日からは、LHDNのMyTax上のe-CKHTによる電子申告が義務化され、紙の申告書は未提出として扱われます。税務番号を持たない外国人の売主は、先にe-Daftarで登録する必要があります。

2025年からRPGTは申告納税方式に移行し、2025年以降の譲渡については譲渡日から90日以内に納税する必要があります。売主・買主とも、関係書類は7年間保存します。

罰則も重く設定されています。申告をしない、または譲渡を申告しない場合は税額の最大3倍、誤った申告は過少分の最大100%の罰則が規定されています。買主が預かり額を期限内に納めない場合は、未納額の10%が加算されます。

RPGTの手続きと期限(2025年1月以降)
手続き担当期限
CKHT 1A(または3)の電子申告売主譲渡日から60日以内
CKHT 2Aの電子申告買主取得日から60日以内
預かり額(7%)の納付買主譲渡日から60日以内
RPGTの納付売主譲渡日から90日以内(2025年以降の譲渡)
書類の保存売主・買主7年間

日本の居住者は日本でも譲渡所得を申告する

日本の居住者がマレーシアの不動産を売却した場合、マレーシアでRPGTを納めるだけでは終わりません。日本・マレーシア租税条約では不動産の譲渡益は所在地国のマレーシアが課税できますが、日本も居住地国として課税し、マレーシアで納めた税を外国税額控除で差し引く仕組みです。

日本の税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで決まり、5年超なら20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)、5年以下なら39.63%です。マレーシアの保有期間(SPAからSPAまで)と日本の所有期間(売却年の1月1日時点)は数え方が違うため、マレーシアで6年目に入っていても日本では短期譲渡になる場合があります。

円換算は売却代金を売却時、取得費を取得時のレートで行うため、リンギット建ての利益と円建ての利益は一致しません。日本側の計算は確定申告の記事で詳しく解説しています。

売却前に確認しておきたいこと

RPGTは購入時点で出口の税率が決まっているようなものです。外国人は5年以内の売却で30%、6年目以降も10%かかるため、短期の値上がり益を狙う戦略は税引き後の利益が大きく削られます。購入前の段階で、想定する保有期間と税引き後の手取りを試算してください。

また、外国人の売却では、買主が外国人の場合に州の最低購入価格を満たす必要があり、最低価格を下回る特例で取得した物件は国民にしか売れないといった州ごとの制限もあります。誰に売れるかという流動性も出口の条件です。

  • 想定保有期間とRPGT税率(5年以内30%/6年目以降10%)を購入前に確認する
  • 購入・売却時の仲介手数料・弁護士費用の領収書を保管する
  • 7%の預かり額と還付までの資金の空白を見込む
  • 買主が外国人の場合は州の最低購入価格が出口を狭める
  • 日本の譲渡所得の申告と外国税額控除を忘れない

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出典

この記事の著者

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Yuto Nishitani ラブアン法人代表

ラブアン法人代表として、2025年10月からマレーシア・クアラルンプールに単身で暮らしています。

現在はクアラルンプールのブキッ・ビンタンで物件を賃貸して暮らしています。

マレーシア不動産の購入・投資に関する記事は、政府・当局の公表資料などの一次資料に基づいて整理したもので、物件を購入した経験に基づくものではありません。

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よくある質問

マレーシア不動産を外国人が売ると税金は何%ですか?

不動産譲渡益税(RPGT)は、保有期間5年以内なら30%、6年目以降は10%です(LHDN、2026年6月更新の税率表)。マレーシア国民・永住者と違い、長期保有でも0%にはなりません。

保有期間はいつから数えますか?

購入時の売買契約(SPA)の日付から、売却時のSPAの日付までで数えます。引き渡し日や登記日ではありません。新築の工事期間も保有期間に含まれます。

買主が売買代金の7%を差し引くのはなぜですか?

売主が外国人の場合、買主は売買代金の7%を預かり、譲渡日から60日以内にLHDNへ納める義務があります(RPGT Act 第21B条)。実際の税額が7%より少なければ、差額は還付の対象になります。

外国人もRPGTの免除を受けられますか?

課税対象の譲渡益の10%またはRM10,000の大きいほうを差し引く免除は、個人であれば国籍の条件がないとされています。生涯1回の自宅売却の免除はマレーシア国民・永住者に限られ、外国人は使えません。

RPGTの申告は紙でできますか?

2025年1月1日以降はMyTaxのe-CKHTによる電子申告が義務で、紙の申告書は未提出として扱われます。売主は譲渡日から60日以内に申告し、2025年以降の譲渡は90日以内に納税します。

日本でも税金がかかりますか?

日本の居住者は日本でも譲渡所得として申告し、マレーシアで納めたRPGTを外国税額控除で調整します。日本の税率は売却年の1月1日時点で所有5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%です。

免責事項

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